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2023年8月4日

読書を続行。 このブログのための「引き寄せ」はもう全くやってない。

108氏に大きな影響を与えた名著『The Holographic Universe』にて言及される書籍『A Separate Reality: Further Conversations with don Juan』を読み終え、今は同じ筆者 による『Journey to Ixtlan』を読み始めている。

『A Separate Reality』

『A Separate Reality』は 1971年に出版された本。 108氏(や108氏と同一人物と思われるU4氏)の言う「現実を疑う、望む現実を視る」のヒントになるかと思い読んだが、「A Separate Reality(別の現実)」は「パラレルワールドのように無数にある現実のうちの1つ」の意味ではないようだ。

『A Separate Reality』とその著者

『A Separate Reality』の著者は Carlos Castaneda(1925~1998年)。 ペルー系米国人。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校で人類学を専攻した。 カスタネダ氏が、ドン・フアンという米国インディアン(ヤキ族)の魔術師に弟子入りしたときの出来事を述べたのが『A Separate Reality』。

Carlos Castaneda の著書はノンフィクション(ルポルタージュ)の体裁を取るが、フィクションと考える人が多い。 つまり、作中に登場するドン・フアンの「魔術」は作り話である恐れがある。 ドン・フアンも架空の人物と目される。

注目のポイント

でも『A Separate Reality』は興味をそそられる部分が少なくない:

  1. 魔術師の視点("look" に対する "see")で、人の体は「光の繊維でできた卵状」に見えるという。 これは『The Holographic Universe』に登場する「世界の実体は干渉縞(周波)では?」という説に合致する。 ただ、この説を Pribram が提唱し始めたのは 1966年だから、Castaneda がその説を知っていて創作に盛り込んだ可能性はある。
  2. 人は世界とファイバーでつながっているとドン・フアンは言う。 Bohm の言う "interconnectedness" や "wholeness"(いわゆる「ワンネス」)を思わせる。 もっともこれも、既にどこぞのスピ概念で言われてるのを Castaneda が自分の創作に採用した可能性はある。
  3. 重要性(importance)を放棄せよ」とドン・フアンは教える。 "importance" は108氏が影響を受けたと言う書籍『リアリティー・トランサーフィン』における重要なキーワード。 「不当な重要性(欲望など)が加わると過剰ポテンシャルが生じる」と『リアリティー・トランサーフィン』の著者は説明する。 カスタネダ氏の著作は17ヶ国語に翻訳されトータルで800万部も売れたそうなので、『リアトラ』の作者も影響を受けていそう。
  4. 思考を放棄しろ」ともドン・フアンは教える。 108氏と同じような教え。 ドン・フアンは "see" のための「思考放棄」だから108氏とは目的が違う。 でも "see" は悟りに通じ、108氏の手法も最終的には悟っちゃうから、行きつく先は同じ。

ドン・フアンの次の発言も非常に興味深い:

  • 心の中のお喋りをやめると、世界は常にあるべき姿となる。 私たちは心の中のお喋りにより、1. 世界を新しくし、2. 世界に生命の火を灯し、3. 世界を維持する。 また、私たちは心の中でお喋りすることで、自分の道を選ぶ。 私たちは死ぬまで同じお喋りを心の中で続けるので、私たちは死ぬまで同じ選択を繰り返す」
  • 世界が我々の目にする状態であるのは、我々が自分自身に "世界はそういうものである" と伝えているからに過ぎない。自分自身に "世界はこういうものである" と伝えるのを止めると、世界は "こういうもの" であるのを止める

「世界」を「現実」に置き換えると、ドン・フアンの主張は「自分が目にする現実は、自分の思考の産物」。 108氏の手法に酷似する。 かの有名なフレーズ「思考が現実を作る」にも似る。

ただ、Google のAI「Bard」によると、ヒンズー教に似たような概念がある。 内容は次の通り:

「我々が知覚する世界は本当の現実ではなく、自分自身の思考や欲望の投影(「マヤ」と呼ばれる)である。 マヤを見透かせれば本当の現実を体験できる。 本当の現実は平和・愛・慈悲に満ちている」

ドン・フアンの発言が、カスタネダ氏がヒンズー教にヒントを得た創作である可能性は否定できない。