1.「引き寄せの法則」とは
引き寄せの法則の要諦は「思考は現実化する」。 良きにつけ悪しきにつけ、自分が考えることが実現します。「自分の想念が事象を引き寄せる」が「引き寄せの法則」です。
引き寄せの法則は、願い事をかなえるのに用いられます。 願望をイメージし続けて願望をかなえます。 お金儲け・恋愛・就職・受験・美容などに役立ちます。
2.「引き寄せの法則」の原理
引き寄せの法則は疑似科学とされます。(今のところ)科学的な根拠が無いわけです。
引き寄せの法則の原理として、複数の仮説があります。 次の通り。
2.1. 潜在意識
「潜在意識が目標達成に導いてくれるのだ」
仕事が上手くはかどる、受験に成功する、人間関係が改善する、髪の毛がふさふさになる、ニキビが治る。 そういった現象は潜在意識で説明がつきます。 自分が望む結果へと、潜在意識が自分を「正解の行動」へと導くわけです。
潜在意識では説明がつかない
でも、潜在意識だけでは説明しきれない部分が引き寄せにはあります。 例えば:
- 宝クジに高額当選 ・・・ いつどの売り場で宝クジを買うと良いか、潜在意識にもわからない。
- 憧れの有名人がバイト先に来店 ・・・ 憧れの有名人の行動を自分の潜在意識がコントロールしたとは考えにくい。
定義が曖昧
「潜在意識」は定義が不明瞭な言葉です。 例えば、「引き寄せ」界の著名人ジョセフ・マーフィーは、「潜在意識」を「(キリスト教の)神の力」と同じ意味で使っています。 マーフィーの意味での「潜在意識」なら、潜在意識で宝クジに高額当選することもあり得ます。2.2. 周波数
「自分が望むモノに周波数を合わせるのだ」
次の考え方です:
- 量子力学的なレベルで、あらゆる事物は特定の周波数(波動)を放っている。
- 同じ周波数のモノや事象同士は引き合う。
- だから自分が望む人・物・状況と同じ周波数を自分が発すれば、自分が望む人・物・状況が引き寄せられる。
- 自分が望む人・物・状況と同じ周波数を自分が発するには、それを既に入手している自分をイメージする。
2.3. パラレルワールド
「引き寄せたい事象が実現するのは、それが叶っているパラレルワールドへ自分が移動(パラレルシフト)するからだ」
パラレルワールドは科学的な仮説の1つ。 なので「引き寄せ=別のパラレルワールドへの移動」と考えるのも荒唐無稽ではありません。 パラレルシフトの体験談も見かけます。
自分が望むパラレルに照準を合わせるには、自分が望むパラレルをイメージします。 この辺の原理は定かではありませんが、「周波数説」と同じでしょうか。
2.4. 超能力
「引き寄せは願望を実現する超能力である」
この説は一般的ではありません。 理由は次の2つ:
- 多くの人は超能力を信じない。
- 超能力を信じる人も、自分が習得できると思わない。
こうした理由で、人々は「引き寄せ」を超能力と認めるのを拒みます。 超能力はハードルが高いので、人々は「引き寄せは超能力とは別物なの。 だから私にも可能なの」と考えるのを好みます。
引き寄せと超能力の共通点
引き寄せと超能力には共通点があります:
- 疑念は禁物 ・・・ 疑念があると超能力を使えません。 引き寄せでも疑念は禁忌。
- 時間がかかる ・・・ 超能力は習得に時間と努力を要する。 スケートや水泳と同じ。「引き寄せ」で実現に時間を要するのは、実現のプロセスに時間がかかるのに加えて、「引き寄せ」能力を未習得の場合に習得に時間が必要だからと考えられる。
- 達人の存在 ・・・ 199さん、108さん、マカロン、イウォーク師匠といった「引き寄せ」の達人は、「引き寄せ」という超能力を身に付けた超能力者では?
3.「引き寄せ」の方法
引き寄せの原理が上記のいずれであろうと、やることは1つ。 ビジュアライゼーション(心に情景を思い描く)です。 自分の望みがすでに実現しているのをイメージします。
例えば1億円が欲しいなら:
☓ 「1億円が欲しい!」と強く念じる。
◯ 1億円を手にしている自分をイメージする。
ビジュアライゼーションのコツ
- 実現を疑わない ・・・「Amazon に注文した商品が届く」と確信するのと同レベルで実現を確信する。 足元の小石を拾えるのと同じように、願望は実現できる。
- 願望の周辺/余波もイメージ ・・・ 目的が1億円なら、1億円で自分の生活に生じる変化までイメージする。
- 瞑想 ・・・ ビジュアライゼーションの前などに瞑想をすると効果的とされる。 「引き寄せ」の原理が潜在意識・パラレルワールド・超能力いずれでも、瞑想が引き起こす変性意識状態* が重要と思われる。
4.「引き寄せの法則」の歴史
呼称の登場
「引き寄せの法則(Law of Attraction)」という呼称が初めて使われたのは 1855年。 米国人の霊能力者アンドリュー・デイビス(1826~1910年)が、その著書『The Great Harmonia』の中で使いました。
普及
"Law of Attraction" という言葉は19世紀のうちに世間に広まりました。 数名の米国人スピリチュアリストが著書で用いて、広まりました。 普及の過程において言葉の意味は変化し、"Law of Attraction" は「肉体に限らず、あらゆる物事に精神が影響する」という意味になりました。
当初の根拠
"Law of Attraction" 黎明期の中心人物である米国の著作家 Prentice Mulford(1834~1891年)は、その著作『Thoughts are Things』で次のように述べます:
思考と発言に注意を払うべし。 思考は空気や水と同じように流れるもの。 我々は自分の思考や発言に基づいて、同種の思考の流れを自分のもとへ引き寄せる。 こうして引き寄せられた思考の流れは、良きにつけ悪しきにつけ心身に作用する。
次のようにも:
乗り物・宿泊先・衣服は、財布が許す範囲内で一流のものにしなさい。 そうすることで権力と成功の流れに入りやすくなる。 贅沢する余裕が全くないなら、贅沢な暮らしをしている自分をイメージしなさい。
"Law of Attraction" という言葉が生まれた当初、その根拠はこのような「思考は物質」という考え、あるいは「精神は物質を凌駕する」という考えでした。 「周波数」や「パラレルワールド」といった根拠は後に取り入れられたわけです。
現代
"Law of Attraction" は、ナポレオン・ヒル(1883~1970年)、ジョセフ・マーフィー(1898~1981年)、エスター・ヒックス(1948年~)といった「引き寄せ」界隈で有名な著作家に引き継がれました。 エスター・ヒックスは「エイブラハムの教え」の著者です。
「バシャール」で知られるダリル・アンカ(1951年~)も "Law of Attraction" の影響を受けていると思われます。